『出禁のモグラ』それが言いたかったを代弁してくれる漫画

この記事では『出禁のモグラ』について紹介していきます。

同じ作者によって描かれた『鬼灯の冷徹』は知っているという人でも『出禁のモグラ』は読んだことがないかもしれません。

こちらも面白い作品ですのでぜひ読んでほしいです。

基本的にはコメディーで、そこにちょっとオカルト的な要素もいれて説教臭くないのも読みやすいですね。

とくにおすすめしたいポイントは言語化できないような感情を言葉にしてくれるところにあります。

• 日常のもやもや
• なんとなくそれ嫌だな
• 言いようのない理不尽

みたいなものを代弁にしてくれます。

どんな漫画か詳しく知りたい方はこの記事を参考にしてみてください！

概要

タイトル	出禁のモグラ
著者	江口夏実
出版社	講談社
発行	2021年〜

『出禁のモグラ』は江口夏実によって描かれた漫画です。

江口夏実さんと言えば『鬼灯の冷徹』が有名です。

地獄を舞台として鬼たちや閻魔大王、神話や昔話のキャラクターによる日常を面白おかしく描いたコメディーです。

『鬼灯の冷徹』でも地獄での世界観と現代社会を比較したブラックユーモアが持ち味でした。

そして『出禁のモグラ』でもその持ち味は健在です。

むしろ現代日本を舞台としており、人間のエグみのようなものがより強く出ています。

『鬼灯の冷徹』よりもホラー要素もやや強く、少し大人向けになったような印象です。

あらすじ

大学で同じゼミの真木と八重子はあるとき、変わった男と出会う。

男はモグラ（百暗桃弓木）と名乗った。

あの世から「出禁」を食らった世にも珍しい仙人であるという。

モグラも目的は命の灯を集めて、あの世は渡ること。

心霊現象や怪談話を引き寄せる二人とともに命の灯を集めることに…

モグラの生き方・考え方

このモグラはどうやら普通の人間ではないようで、長く生きて（？）いることがわかります。

飄々としていながらも、人間をよく観察していて本質を見抜き言い当てているところがいくつもあります。

そういうセリフを見ると「ああわかるなあ」とか「それが言いたかったんだよ」とおいう気持ちにさせてくれますね。

それを象徴するようなセリフをいくつかピックアップして紹介します。

一人で思いを募らせればこじらせる

「一人で思いを募らせていくこと」は危険な行為だ

要は拗らせる（中略）

凶霊ってのはとどのつまり「拗らせた人間」だ

「一人で思いを募らせて」ないですか？

考えすぎてがんじがらめになってないですか？

もしくはそういう人が周りにいたりしませんか。

普通の幽霊が長い時間をかけて悪霊に変わっていくとき場面で発せられたセリフです。

幽霊や悪霊という性質でわかりやすく描いていますが、生きている人間でも同じことが言えますよね。

こじらせた人間というのは、一人でいる時間が長くて、他人との関わり少ないような気がします。

そのことに気付けないというのが一番の恐怖ですよね。

自分自身はどうだろうとふと思わせてくる、そんなセリフです。

誰かを救おうとしたやつが悪人になるのは嫌だ

誰かを救おうとした奴が悪人になるのは嫌だ！！！

俺が！

嫌なんだ！！

それはこの世の「解決できない問題」の一つだけれども

誰かのためになにかをできるってのはすごいことです。

誰かのためになにかをしたのに報われなかったり、逆に不利益を被ったりする。

世知辛いけど、この世の現実としてたしかに存在する。

どう行動するべきとか、なにが正しいとかはわからないです。

無責任なことは言えません。

でもどう思うかとかどう考えるかとか、自分の心だけは自由で。

ここでのセリフは「ああ、そうだよな」と思わせてくれるもので、真理をついているのかもしれません。

生きたいから、時に死にたい

人間はよォ〜

人を殺してる自覚なく好き勝手言いやがるよなァ！

でも俺だってたぶんどっかで言っちゃってんだよ

一方でよォ〜人間は生きたいから時に死にてーんだよなァ

兄ちゃんこの世はオッペケペーだアンタは偉いよ

現代社会の問題として誹謗中傷を取り上げた際のセリフです。

誰かの言葉ひとつが違う誰かの命を奪うことも少なくないです。

心痛いニュースを目にするたびに、「なんでそんなひどいことを言うんだ」「少し考えたらわかるのに」なんて思ってしまいます。

でも実際は誰しもがきっと誰かを傷つけてきっとどこかで命を奪うこともあるのでしょう。

この世の不条理をモグラらしい言葉で表現したものです。

この世の中を諦めを持って俯瞰しつつも、誰かを救うことを諦めきれない彼の人間性がにじみ出ています。

『出禁のモグラ』を読んだ人におすすめ

そんな『出禁のモグラ』を読んだ人におすすめの作品を紹介していきます。

だんドーン

『ハコヅメ～交番女子の逆襲～』で有名な泰三子さんの漫画です。

『ハコヅメ～交番女子の逆襲～』もそうですが、人間の本質、物事の不条理をつくのがうまいなと感じます。

本作は幕末を舞台として、今までにない切り口で重苦しくなく話が進んでいきます。

人物像の切り取り方も、ギャグとシリアスのバランスも取れているので、『出禁のモグラ』を読んだ人なら楽しめるかと思います。

まとめ

いかがでしょうか？

鬼灯の冷徹と比べるとポップさが控えめで、読んでいてうるさくない点が本作のよいところかなと思います。

興味があればぜひ読んでみてください！

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