HSPの人は感情豊かであるとされています。
でもその感情をうまく言葉にできなくて、相手に伝えられなかったりした経験はありませんか?
自分の感情や感じたことを言葉にできると清々しいものですし、相手にしっかりと伝わると嬉しいですよね。
具体的にどのように言葉にしたらいいのか。
吉井奈々さんの『いつもの言葉があか抜ける オトナ女子のすてきな語彙力帳』を参考に書いていきます。
「オトナ女子の」とされていますが僕自身(30代男性)でも使えるものばかりでした。
オトナになるほど性差は薄くなっていくし、そういう時代でもないですしね。
ぜひ参考にしてください。
著者の想い
「自分を変えたい」ともがいていた私がたどりついたのは
おわりに より引用
仕事を変えること、
暮らす場所を変えること、
相手を変えること、
それらのどれでもなく、
言葉を変えることでした。
「表面的な話を、おもしろおかしくすればするほど、他者を演じているような感覚、自分にも相手にもウソをついているような感じ。」
巻末の「おわりに」にてこのように書かれていました。
わかるなぁ…。
相手に求められる自分が分かるんですよね。
分かっちゃうからそれを演じちゃう。
そうすると、自分の言いたいこととは違う言葉がどんどん口から出てきてしまうんです。
あとから「なんであんなこと言ったんだろう…」と自己嫌悪したりして。
だから作者の吉井さんはこう語ります。
「意見や感想を伝えるときは、「自分の言葉でなくてはいけない」と身構えていました。だからなかなか発言できなかった(中略)でも「オリジナルにこだわらなくていいんだ」「すでに知っている言葉に置き換えてもいいんだ」と思えるようになったのです。」
「するとすごくコミュニケーションが楽になって、”自分が自分が”ではなく、相手の立場や状況を考える余裕が生まれました。」
ああ、そうか。
自分の言葉ばかりに気を取られているから、辛いんだと思いました。
ちゃんと言葉を使うことができれば、自分も相手も楽できるんですよね。
そういう風に使ってほしいという想いが、この本にはあります。
この本の使い方
「この本で大切にしたいのは、相手も自分も心地いいコミュニケーションです。」
まず最初にこう書かれています。
自分の言いたいことが言えるようになると、相手も心地いいと感じて貰える。
そんな言葉の使い方をレクチャーしてくれます。
そのためのポイントも冒頭で紹介してくれていますのでまとめました。
おおむね理解できるし、大事なことだと納得できます。
このなかでも「その2 ファッションのように言葉を選ぶ」は少し意外で、捉えづらいかもしれません。
僕が感じたことも踏まえて解説します。
ファッションのように言葉を選ぶ
大事な商談での装いと、友人と遊ぶときのコーディネートが違うように言葉も変わります。
「今日は〇〇で仕事だからこの言葉を使ってみよう」
「今日は〇〇な自分でありたいから、この言葉を使ってみよう」
自分の感情に服を着せるようにして、言葉を選ぶのだと感じました。
言葉は無数にあるけど、それってそもそも服のように始めから用意されているものなんですよね。
みんながそれを選んで使っているだけで。
つまり自分に合わせて作られた、オーダーメイドの言葉は存在しない。
オーダーメイドの言葉があったとしても、それは他人には理解できない。
だから自分の感情を100%表現できる言葉ってそもそも存在しないんですよね。
同じ言葉を使っていても、自分と相手ではその意味の捉え方が違ったりもしますし。
だから自分の感情を的確に表したつもりでも、相手には伝わらなくて当然なんです。
それを「どうして伝えられないんだろう」とか悩むのは無駄なんですよね。
土台無理なことをやろうとしているから。
だから知るべきことはフォーマットなんです。
ここで「ファッションのように言葉を選ぶ」ことに繋がります。
フォーマルにはフォーマルの、カジュアルにはカジュアルのフォーマットがあります。
それに合わせて言葉を選ぶのだと。
だって、お葬式にTシャツ一枚で行かないですよね。
「これ、自分なりに、喪に服してるんで」っていってもなんやこいつでしかないので。
だからまず知るべきはフォーマットなんです。
その場その場のうまい言い方を学びましょう。
この本ではそれを知ることができます。
実例
この本では全11章に分けて、334の言葉を紹介してくれます。
1章 挨拶の言葉
2章 気持ちを伝える言葉
3章 感謝の言葉
4章 打ち解ける言葉
5章 あいづち・クッション言葉
6章 ほめる言葉
7章 励ます言葉
8章 お願いの言葉
9章 断るときの言葉
10章 おわびの言葉
11章 電話・メール・オンライン
どうでしょう?
どれも苦手だと感じるものばかりではないでしょうか。
ぼくはどれも苦手だなと感じていました。
だからこそ言い方を学んでおきたいですね。
いくつかピックアップして紹介していきます。
反対意見を伝える
残念…「それ必要ですか」
→こうしてみるのはいかがですか?(代案を伝える)
→おもしろい考え方ですね(一度肯定する)
→その場合に考えられるデメリットはありませんか?(問題点を明確にする)
反対意見を伝えるのが苦手ではありませんか?
相手を否定することになるようで、でも伝えなければならない場面もありますよね。
そうなるとその一言を発するだけで、どっと疲れたりもしますよね。
そこでここで紹介したように、言い方を変えてみましょう。
「こうしてみるのはいかがですか」ならできそうじゃないですか?
真正面から否定する必要はそもそもないんですよね。
やわらかくお願いする
残念…「ちょっといいですか」
→15分ほどお時間いただけますか?(時間を具体的に)
→お願いできたら心強いです(敬意を表しながら)
→難しいようでしたら、断っていただいて差し支えありません(相手が断りやすいように)
否定するのも苦手ですが、お願いするのも苦手です。
ひとりでやってしまったほうが楽だなんて思っていたりしますよね。
でもお願いできると、当然いろんなことの負担が減ります。
それにお願いできるととてもいいことがあります。
それは相手にありがとうが言えるということ。
自分のお願いを聞いてくれてありがとう。
やってくれてありがとう。
こうやって、ありがとうを言うためにお願いしてみませんか?
お願いする言葉を持っていれば、もっとみんなが幸せになれると思うんです。
うれしさを伝える
残念…「超うれしいです」
→心からうれしく思います(オトナな印象)
→胸がいっぱいになりました(こころからの喜びを伝える)
→グッときました(擬態語で表す)
うれしさを表現するのも苦手じゃないですか?
本当に、苦手なことばかりで嫌になりそうですが。
感情を表現するのが気恥ずかしい気がして。
ここで紹介したような言葉は歯が浮くような感じがしますし、どうも的確じゃない感じもします。
でもそれでいいんです。
始めから自分のために用意された言葉はなくて、それに似たような言葉を使うしかないんです。
言葉ですべてを伝えることは土台無理なことなんですよね。
だから、言葉以外も使って感情を伝えるべきなのかもしれません。
この本では次のようにも書かれています。
言葉だけではうれしさは伝わらない
うれしい気持ちを伝えるときに、まず大切なのは「言葉と表情をセット」にすることです。(中略)言葉にどんな表情を添えるかで、うれしさの伝わり方はまた変わりそうですね。
以上、3つの場面から紹介しました。
紹介したのは1場面に3語だけでしたが、これば抜粋しただけで、この他にもいくつか紹介してくれています。
自分に合いそうな言葉を選んで使っていけるといいかなと思います。
おわりに
以上、吉井奈々さんの『いつもの言葉があか抜ける オトナ女子のすてきな語彙力帳』を参考に、感情の表現や相手に伝わる言い方を紹介しました。
非常に実用性のある言葉ばかりですので、ぜひ参考にして実践してみてください。
人はその人が発する言葉で作られるといいます。
言葉を変えれば自分が変わる、自分が変われば周りが世界が変わります。
これはおおげさな表現ではないと思っています。
日常の言葉をほんの少し変えてみてはいかがでしょうか?
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