現代は内向型よりも、外交型がもてはやされます。
そんな世の中で、内向的な人は苦しい思いをしているはずです。
例えばこんな経験はないでしょうか。
- パーティー(飲み会)が辛い
- 会議で発言を求められることが辛い
- 無理して外交的に振る舞っている
そんな方に向けて紹介したい本が『静かな人の戦略書』です。
この本は一言でいうと「内向型の人が社会で活躍する方法を教えてくれる本」です。
無理せず自分らしくいながら、社会で活躍できれば理想的だと思いませんか?
『静かな人の戦略書』を読めば、才能を活かせるようになるはずです。
この記事は本書をかいつまんで紹介していきます。
ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください!
概要
タイトル | 静かな人の戦略書 |
著者 | ジル・チャン |
翻訳 | 神崎朗子 |
出版社 | ダイヤモンド社 |
発行 | 2022年 |
『静かな人の戦略書』は内向型のキャリア支援やリーダーシップ開発のために国際的に活躍している台湾人のジル・チャンさんによって書かれました。
アメリカ州政府やメジャーリーグなどさまざまな業界で活躍してきた方です。
そんな経歴を聞くといわゆるバリキャリ系なのかと想像してしまいます。
しかし、著者はコンビニでおつりが違っていても言い出せないくらい恥ずかしがりで内向的な性格です。
本を読んでいても内向型の感情の機微に触れており、実に繊細な方なのだろうと感じました。
ではその内向的な作者がいかにして、その輝かしい実績を手にしたのか。
その秘訣や、作者が得た知見を遺憾なく書き記したのがこの『静かな人の戦略書』です。
- 内向型や外向型はどう違うか
- 外向型とどのように接するべきか
- どう振る舞えば周りと協調できるのか
その秘密を見ていきましょう。
静かな人の「戦略」
静かな人の戦略書では多くのことが紹介されています。
その全てを紹介することはできませんのでいくつかピックアップして解説します。
以下の内容を解説していきます。
- 「はったり」はいらない
- 戦略的に「得意なこと」で勝負する
- 独特の「脳の特徴」を武器にする
- 「無駄なエネルギーの消耗」を抑える
- 「プラン」を完璧に用意する
- 「謙虚さ」こそが成功をもたらす
- あえて「正反対」の相手とタッグを組む
- リーダーに「カリスマ」はいらない
一つずつ見ていきましょう!
「はったり」はいらない
まず1つ目は「はったりはいらない」です!
あなたは無理に外交的に振る舞おうとしていませんか?
「ありのままの自分では他者に受け入れて貰えない」と考えてしまうことがあるのではないでしょうか。
だから自分にはないものを見せかける「はったり」を用意して、それを見せつけようとする。
著者はそれを「必要のない行為」だと言います。
なぜならずっと同じように悩んでいて、「自分以外の何者か」になろうとしていた経験があるからです。
ある国際機関のマネージャーをしていたとき、各国の代表が集まるような大きな舞台でスピーチをすることになった際には「なぜ自分がこんなところにいるんだ!」とすら思ったそう。
しかし、その舞台で彼女はあるきっかけから緊張を抑え、自分らしく話をすることに成功しました。
その結果、その会場にいた人たちからビジネスの誘いがいくつも舞い込むことになります。
彼女のスピーチを聞いて「この人なら信用できる」と感じた人がたくさんいたのです。
その後、彼女のビジネスは大きく発展しました。
そうした経験から「自分らしく生きていいんだ」と気付きは得たのです。
無理に外交的に振る舞うよりも、自分の言葉で話してみてください。
それを素敵だと感じてくれる人がきっと大勢いるはずです。
戦略的に「得意なこと」で勝負する
2つ目は「戦略的に得意なことで勝負する」です!
内向型の人は話すことが苦手な人が多いですよね。
でもじっくり考えて文字にしてみることは意外と苦じゃなかったりしませんか。
そうやって得意なことで勝負するべきだと著者は言います。
それは彼女の大学時代、スポーツマーケティングのインターンシップを行っていたときの、ある経験に基づきます。
欧米の社会とくにマーケティング業界は内向型人間に向いているとは言い難いです。
しかし、内向型である彼女は外向型人間ひしめくインターン生を押しのけて、人気のあるスポーツを担当することができました。
それはインターン生へのアンケートが筆記試験だったからでした。
話すことは得意ではないが、文字にして語ることは得意だったのです。
彼女は言います。
輝くような笑顔を浮かべ、はきはきと熱のこもった口調で答える(中略)私はとてもじゃないが、そんなふうにはなれない。
著者にとって運が良かったとも言えますが、逆の立場から見ればたまったものじゃないという状況です。
もし、試験内容が筆記ではなく面接だったらそうはならなかったでしょう。
外向型の彼らも同様に非常に優秀なはずです。
いずれにせよ「どんなに優秀でも不向きな場面がある」ということです。
話すことが苦手なら、文字にしてみる。
電話が苦手ならメールにしてみる。
自分が苦手な分野に敢えて足を踏み入れる必要はないのです。
戦略的に自分の得意なことで勝負しましょう。
独特の「脳の特徴」を武器にする
内向型と外向型は生まれつき異なる脳を持っているのだ。
PART1 静かな人の「仕事」の戦略
3つ目は「独特の脳の特徴を武器にする」です!
内向型の人は無理に外向型にする必要はないことはすでに説明した通りです。
では、なぜそうしないほうがいいのかについて掘り下げていきましょう。
それはそもそもの「脳の構造」が違うからです。
内向型と外向型を分ける要因には諸説ありますが、大きくは「遺伝」と「環境」によるものであると言われています。
外向型の人はそもそも「外向型の脳」と「外向型になるべくした環境」を持って、そうなっていると言えます。
それは逆もしかりで、内向型人間は「内向型の脳」と「内向型になるべくした環境」にあります。
内向型になるべくして内向型になっているのです。
あなたが外向型になれないのは、努力が足りないからではなく脳の構造が違うからです。
そう考えると「今までなんて無駄なことに時間を使っていたんだ!」と思いますよね。
著者は内向型の特徴をいくつか挙げています。
思い当たる部分が大いにあるかと思います。
この特徴は良く働くこともあれば、足を引っ張ることもあるでしょう。
外向型とは脳の構造が違うんだなと考えるだけでも気が楽になりませんか。
僕自身はふっと肩の力が抜けるような気がしました。
では内向型はこの脳の特徴を、どのように活用していけばいいのでしょうか。
それについては本書でより詳しく解説してくれています。
「無駄なエネルギーの消耗」を抑える
内向型にとってエネルギーは最も重要な資産だ。
4つ目は「無駄なエネルギーの消耗を抑える」です!
内向型は外向型に比べてエネルギーの消耗が激しいです。
朝が一番体力がある状態として、いかにそれを消耗しないかが重要であると著者は語ります。
つまり内向型はいかに省エネするかを考えるべきなのです。
例えば著者は出張が多くそういう日はいかにエネルギーを消耗しないか考えるそうです。
飛行機では窓際の席を選ぶ
クライアントとのミーティングは1日1件と決めておく
ホテルは良いところでよりよい休息を取れるようにする
こうした行動を繰り返して、より高いパフォーマンスを発揮します。
同時に自分を大切にしているとも言えそうです。
自分だけの安心スペースをつくる
また、自分の「安心スペース」を取ることもすすめています。
いつでもどこでも「自分だけの安心スペース」があればそれだけで消耗を抑えられます。
これを著者は、さながら『新世紀エヴァンゲリオン』の「ATフィールド」と表現しました。
アニメや漫画が好きなのかこういう例えを他にも用いているのも本書の面白いところです。
安心スペースを作るとはどういうことでしょうか。
それは自分のお気に入りのアイテムを身につける、用いいるなどして安心感を高める行動を取ることをいいます。
例えば、
- 大判のウールのスカーフで身体を包み込む
- サングラスで目元を隠す
- お守りの人形をカバンにしのばせておく
- お気に入りの香水をひと吹きする
- イヤフォンをして好きな音楽を聞く
- 大きな帽子をかぶる
といったことです。
いわゆる「安心毛布効果」だったり「物理的な距離を取る」といったことですね。
たしかに近年マスクが手放せませんがマスクをしているだけでも安心感があって、心の休息を得られますよね。
そういったアイテムをもっと増やすのはよさそうです。
子供っぽいと考えずに、自分に素直に、大切にしてみる戦略をとっていきましょう。
HSPと内向型
ここまで読んで「これってHSPのことじゃないの?」と考えたかもしれません。
著者も内向型とHSPについて言及しています。
結論として「HSP=内向型」とは言えません。
しかし、内向型とHSPに関係はありそうだと感じます。
その他にも「他人の感情に振り回されない」「気まずい雰囲気を察知してしまう」といった特徴を挙げています。
これもHSPの代表的な特徴ですよね。
著者はHSPについては専門外なので多くは語っていませんでした。
HSPについて興味がある方はこちらの記事もぜひ読んでみてください。
HSPについて書かれた本『繊細さんの4つの才能』について紹介しています。
いずれにせよ内向型はHSPと同じく消耗しやすい特性を持っています。
消耗しやすいことを自覚して、いかに自分を守っていくかを戦略的に考えましょう!
「プラン」を完璧に用意する
多くの内向型の人の長所は、常に先を見越して計画し、戦略を立てるのが得意なことだ。
次は「プランを完璧に用意する」です!
本書では社交(パーティー)の場を例に挙げて紹介しています。
内向型は、パーティーや飲み会といった人が集まる場所が苦手です。
著者もその一人で、
なぜイベントに参加しなければならないのか
イベントが入ると一週間前から憂鬱
といった感情を持っていました。
そこで著者は事細かにイベントでの戦略を立てるようにしたのです。
- 「体調」に気をつける
- 人を知るには「己」を知る
- 「たくさんの人」と話さない
- 「脱出口」を確保する
- 「ゆっくり」となじんでいく
- 「雑談のネタ」を用意しておく
- 主催者側の「手伝い」をする
- 「少人数」の輪に入る
飲み会の場でこのような行動をしている人もいるのではないでしょうか。
僕自身は「雑談のネタを用意しておく」「少人数の輪に入る」といったことは心当たりがあります。
特に「脱出口を確保しておく」という考えは面白いです。
著者はすんなりとパーティーを抜け出せるように頃合いを見て、誰かに電話をかけてくれるように頼むそうです。
電話があれば少なくともその場は離れられますし「急ぎの用事があってもう行かないと…」なんて言えますしね。
この対策を見て本当に苦手なんだろうなと感じました。
さらに始めに述べたように人前でのスピーチで緊張しない方法もここで紹介してくれています。
僕自身は目からウロコが落ちる思いだしましたし、とても得心がいくものでした。
他にも事細かに戦略を紹介しているので、興味があれば本を読んでみてくださいね。
「謙虚さ」こそが成功をもたらす
目立った存在になるのは内向型がもっとも苦手で望まないことのひとつだ
次は「謙虚さこそが成功をもたらす」です!
この部分は個人的に本書で一番感銘を受けた部分でした。
著者は謙虚な人の特徴として以下の3つを挙げています。
- 自分の弱点や自分に欠けているものを知っている
- 個人の利益よりもチームの利益を優先する
- 常に勉強と練習を怠らない
どれも素晴らしい才能ですよね。
これを読んで僕は「自分の弱点や欠けているものを知っている」部分に集約されているのではないかと考えました。
自分では何もできない事実を知っているから、成長することができるし、周りに助けてもらうことができる。
そういうあなたを見て周囲の人はあなたに協力してくれるはずです。
だから謙虚さは武器であるといいます。
とても嬉しい言葉でした。
謙虚な人は損をしているのでは
しかし僕自身は、謙虚であることで損をしてきた経験のほうが多いように感じます。
同じような方も多いのではないでしょうか。
謙虚さが勝ちすぎるあまり、周囲から軽んじられたり、正当に評価されていないように思ったり。
「もっと積極的にアピールすることができれば、評価があがるのでは」
「外交的なあの人のように、周りから信頼されるのではないか」
そう感じることも多くあります。
やはり著者もそう感じており「上司が気に入るのってスーパースターばっかり!」と言っています。
でも近年それは見直されつつあります。
スポーツ界のレジェンドは多くの場合、他人の犠牲の上に成り立っています。
でも活躍は常に数字に表れるとは限りません。
犠牲になっていても、チームのためを思って行動している者がいるはずです。
それは一体だれなのでしょうか。
それはもちろん目立たない存在であるはずです。
真に価値のある者
例えばメジャーリーグでは、どの球団もスター選手との契約に巨額の費用を払うことを望まなくなりました。
これはあらゆるデータを統計解析したところスタープレイヤーとの巨額の契約は、そうでないロールプレイヤーとの契約に比べて費用対効果が低いことがわかったからだと言います。
そいてこれはメジャーリーグだけでなく他の業界でも同じことが見られます。
ウォールストリートやシリコンバレーでもスーパースターへの信仰は薄れ、チーム全体に貢献しているものへ目を向けるようになりました。
これは内向型にとって間違いなく朗報です。
やはりアピールや努力は必要ではありますが、社会に真に価値のある者を見つようという動きがあるのです。
繰り返しにはなりますが、やはり自分の得意なことを前面に押し出していきましょう。
自分自身は謙虚に、チームを優先していていいんです。
あなたは真に価値のある存在なのですから。
あえて「正反対」の相手とタッグを組む
次は「あえて正反対の相手とタッグを組む」です。
はっきり言って、内向型にとって外向型の人は苦手なものです。
理解が及ばない生き物だからです。
でもあえて異なるタイプでタッグを組めば、お互いの弱いところを補い合う最高の関係が生み出せると著者は語ります。
それは過去に多くの実例があります。
もしあなたが誰かの上司だったり、チームの主導権があればあえて異なるタイプを組ませてみるのもいいかもしれません。
特に日本では部署ごとに近いタイプの人間を集めがちかと思います。
始めのうちはお互いに理解できないかもしれませんが、苦手なことをやってくれる相手は非常に心強いはずです。
もし、相手方の交渉をやってくれるとしたら?
もし、言いづらいことを代わりに言ってくれるとしたら?
考えすぎて動けないでいる自分を、とりあえずやってみようと引っ張ってくれたら?
それはとても助かると思いませんか。
お互いに分かり合うには時間がかかるかもしれません。
でも人生において最高のタッグパートナーは異なるタイプだったと語る人はとても多いといいます。
リーダーに「カリスマ」はいらない
最後は「リーダーにカリスマはいらない」です!
あなたが思うリーダーとはどんな人物でしょうか。
みんなの先頭に立ち
意見を取りまとめて
いつも明るく
話し上手な気さく
こんなイメージを思い浮かべるかもしれません。
言わずもがな、まさに外向型の人物ですよね。
でも実際はどうでしょう。
世界を牽引する大企業のリーダーには内向型の人物も多く存在します。
実際にイーロン・マスクもビル・ゲイツもウォーレン・バフェットもみんな内向型だといいます。
彼らが成功したのはきわめて謙虚でありながら、徹底したプロ意識を持っていたからです。
内向型のリーダーはこんな特徴があります。
謙虚で穏やかで物静か
自己抑制や自制心に優れる
控えめで内気
そしてなにより人の話を深く聴く「傾聴」の能力が高いです。
積極的に提案や意見を取り入れて、チーム全体にとってもっとも有益な判断を下せます。
あなたは人を導くなんてできないと考えているかもしれません。
チームにはもっと向いている人がいると思うかもしれません。
でもどこかのコミュニティでいつかは誰かを導くリーダーになる日がきます。
それは仕事かもしれませんし、家族や友人関係であるかもしれません。
そんなときでも謙虚な姿勢を崩さず、みんな話に耳を傾けるリーダーであってください。
その姿勢があなたをリーダーたらしめるものであるはずです。
まとめ
以上『静かな人な戦略書』の紹介でした。
まとめです!
- 戦略的に「得意なこと」で勝負する
- 独特の「脳の特徴」を武器にする
- 仕事の戦場で味方を増やす
- 「無駄なエネルギーの消耗」を抑える
- 「プラン」を完璧に用意する
- 「謙虚さ」こそが成功をもたらす
- あえて「正反対」の相手とタッグを組む
- リーダーに「カリスマ」はいらない
改めて見返すとその意味が掴めたのではないでしょうか。
結局、人はいつだってないものねだりです。
あなたが内向的でとっさの判断ができなかったり、口下手なところに悩んでいるかもしれません。
でも自分とって嫌なところも、そうでない人から見れば羨ましいものです。
自分では口下手だと思っていても、周りからは思慮深く、落ち着いて話ができる人物にも見えます。
だから自信を持っていいんです。
ありのまま今の自分を受け入れて、その才能を否定しないでください。
あなたは十分に魅力的な人です。
その自信を持てるような言葉が本書にはたくさんありました。
ぜひ実際に本を読んでみてくださいね。
この記事はここで終わりです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
コメント